- 日本で医療用大麻合法化と聞いたけどどういうこと?
- 合法化するといいことあるの?懸念は?
こんな疑問に答えます。
医療用大麻とは
医療用大麻とは、特定の疾患や症状の緩和のために使用される大麻のことです。
もちろん、医師の指導の元、認可された患者のみが使用することができるものとなります。
実際にアメリカでは、半数以上の州で医療用大麻が合法化されています。
医療大麻が体に効果を与える仕組み
大麻は我々の体が持つエンドカンナビノイドシステムに作用することで、効果を発揮しています。
中でもカンナビジオール(CBD)とテトラヒドロカンナビノール(THC)の2つの成分が主な薬効成分です。
THCとCBDの違いについては「THCとCBDの効果の違いとは?違法性や副作用も含めて徹底比較」をご覧ください!
さらに説明すると、このシステムは、ホメオスタシスと呼ばれる体のバランスと安定を保つ欲求を調整し、痛みの知覚に重要な役割を果たす神経細胞や免疫細胞の機能に重要な役割を果たしています。エンドカンナビノイドシステムは3つの部分に分かれています。
- エンドカンナビノイド受容体:CB1およびCB2
- 内因性カンナビノイド
- カンナビノイドの分解と利用を促進する酵素
エンドカンナビノイド受容体についてはエンドカンナビノイドシステム(ECS)とは?CBDが防ぐカンナビノイド欠乏症をご参考ください!
医療用大麻は何に効く?効果と使用例
医療用というだけあり、今までは薬を使用して対処していた様々な症状に効き目があります。
吐き気の抑制
癌などの化学療法による吐き気に対して効果があると世界各国で提唱されています。
実際に「ナビロン」「ドロビノール」という医薬品が利用されていますが、大麻から由来する成分δ9-テトラヒドロカニビノール(Δ9-THC)を使用しています。
脳幹の背側迷走神経複合体(DVC)という、吐き気に関連する信号を送る部分に働きかけることで吐き気が収まります。
筋肉をほぐす
多発性硬化症や身体の麻痺時にみられる筋肉のつっぱりや硬直を和らげる効果があります。
大麻に含まれる精神活性物質が、実際にこれらの神経細胞間のシナプスを介した情報伝達を阻害することがわかっています。
食欲の促進
グレリンという食欲増進ホルモンを活発化させ、食欲をわかせることができます。
食欲増進は大麻の最もよく知られた効果です。一説によると、紀元前300年頃には、大麻が食欲を刺激すること、特に甘いものやしょっぱいものが食べたくなるということがわかっていたとのことです。
この現象は「マンチー」というスラング名で広く使われています。
- 胃と小腸で、グレリン(消化を促進する食欲増進ホルモン)が増加。
- 大脳基底核を活性化し、食べ物を食べた際により美味しく感じる様になる。
- 脳の視床下部と菱形脳という部位を刺激し、食物摂取量を増加させる。
慢性疼痛の緩和や鎮痛効果
慢性的な痛み大麻は、神経の損傷によって起こる神経障害性疼痛など、特定の種類の慢性疼痛を和らげることができます。
医療用大麻の使い方は?
摂取方法によって、有効成分が体内に吸収される割合、大麻の効果を感じるまでの時間、その効果の持続時間が変化します。
詳しくは「CBD(グミ・リキッド)は効果がない?実際の効果時間や摂取方法による違いを解説」を参考ください。
大麻の摂取方法は、主に3つあります。
- 医療製剤-錠剤や液剤。
- 吸入- ヴェポライザーによる吸引、または喫煙。
- 嗜好品- グミ、ブラウニー、その他の「スナック」、舌の下で溶けるチンキやオイルもこのカテゴリーに含まれます。
- 外用薬- クリーム、軟膏、軟膏を直接肌に塗るもの
医療利用においては、錠剤がメインとなります。アメリカでは患者に合わせて上記のいずれかの方法を取り入れることもあるとのことです。
医療用大麻のメリット
医療用大麻が従来の薬より優れている点は以下となります。
副作用や中毒性が少ない
マリファナは、鎮痛剤として処方される他の薬よりも安全と言われています。
例えば、痛みを抑えるためにオピオイドの代わりに使う人もいます。
様々な摂取方法を選べる
いろいろな使い方ができます。カンナビジオール オイル(CBD)、外用鎮痛剤、エディブルなど、タバコとして吸わずに利用できる製品があります。
向精神作用なしに効く成分もある
大麻由来の成分と聞くと精神作用があるんじゃないの?と思った人が多いのではないでしょうか?
しかし、CBDのように、一般にTHCとして知られている化合物によって生じる「ハイ」な気分を味わうことなく、効果を得られる成分があります。
医療大麻のデメリット
医療用大麻には多くの利点がありますが、やはり欠点もあります。典型的なものは以下3つです。
短期的記憶力の低下
医療用大麻の頻繁な使用は、短期記憶に影響を与える可能性があります。
認知力の低下
頻繁に使用すると、認知(思考)能力が低下する可能性があります。
例えば、車を運転している場合は運転技術や危機管理能力低下させ、事故の可能性が高まります。
過度な乱用による中毒性
あまりに多量に、頻繁に使用すると中毒のリスクがあります。
ただ、適切な利用から外れた場合にのみその懸念があると考えて良いでしょう。
例えば、18歳以前にマリファナを使い始めた人は、成人よりも4〜7倍マリファナ使用障害になる可能性が高いとわかっています。
他にもあまりにTHC濃度が高い品種を吸っていた場合も要因になりうるとの見解もあります。
中毒になると、大麻を摂取していないときに離脱症状を起こします。イライラ、気分や睡眠の障害、食欲の低下、欲求、落ち着きのなさ等、身体的不快感を感じます。
日本での解禁はいつから?2022年の現状と今後について
日本で医療用大麻解禁という言葉が独り歩きしてしまっていますが、具体的には「大麻由来の成分を用いた医薬品の認可」といった内容となります。
こちらの時期は現在検討中のようです。
もちろん、今後治験の拡大や症例の蓄積により緩和に向けた動きの展望もあるかもしれません。
海外では医療用大麻解禁から嗜好利用まで拡大した例もありますし、国としてメリットも多くあります。
詳しく知りたい方は「大麻(マリファナ)の合法国はどこ?なぜ海外は大麻合法化が進んでいるの?」ご覧ください。
医療用大麻合法なのに大麻使用罪新設ってどういうこと?
要は国が認めた大麻由来の医薬品以外を使用した場合に罪に問われるというものです。
時期としては2022年春に法改正目処で予定されています。
現在世界で使用されている大麻由来成分を含む医薬品
セサメット
THCの人工的な化学的誘導体(化学式が微妙に異なるもの)を用いた医薬品です。
ガンやHIVなどに起因する吐き気や食欲不振等に使用が許可されています。
日本では未承認の薬です。
マリノール
セサメットとは異なり、天然のTHC自体を主とした医薬品です。
ジェネリック医薬品として販売されているため比較的安価で入手可能となります。
がん化学療法による重度の吐き気と嘔吐の治療に使用されます。
Sativex
2005年にイギリスに拠点を置くGWという製薬会社が開発した治療薬です。
THCとCBDを1:1の比率で配合したもので、以前のマリノールやセサメットとはCBDを含んでいる点で大きく異なります。
現在は欧州の30カ国で多発性硬化症等に効果があるとして承認され実際に使用されています。
Epidiolex
同じくGW社が開発したCBDのみを含む医薬品です。
2018年にはアメリカで承認され、その後欧州でも使用が認可されました。
てんかんやレノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、結節性硬化症に用いられます。
日本でも治験に進められることが決定しているため、効果が認められれば将来使用が可能となる予定です。
大麻そのものを吸うのと医薬品では違いはあるの?
大麻そのものにはTHCやCBDだけでなく、テルペン類を含む多くの有効成分があります。
それらの成分がTHC等の薬効成分をより効果的に補助してくれるというわけです。
この仕組みはアントラージュ効果と呼ばれます。
アントラージュ効果について詳しく「アントラージュ効果とは?CBDの効果を高めるテルペンの秘密」を参考ください!
世界で医療用大麻として人気の品種
大麻は、サティバ種とインディカ種、そしてサティバとインディカの交配種のハイブリットに分けられます。
インディカ種は 、THCとCBDの両方がバランス良く含まれ、反対にサティバ系は THCが多く、CBDが少ないことで知られています。
詳しくは「サティバとインディカの違いは?」を参考ください。
一般的には、以下のように考えておくと良いでしょう。
品種 | 症状 |
---|---|
サティバ | 脳に関連する症状 |
インディカ | 不安や、痛みに関連した体調不良 |
医療によく用いられるインディカ種と効果
CBD濃度が高いため、THCの精神作用が抑制され、より身体的な効果が強くなり、脳への影響が少なくなることが期待されます。
- ブルーベリー クッシュ
- ババクッシュ
- オーロラ
- プラチナクッシュ
- スカイウォーカー
一般的な効果は以下の通りです。
- 痛みの緩和
- 不安の解消
- 筋肉の緊張を和らげる
- リラックス効果
- 安眠作用
- 吐き気止め
これらの効果の多くは、特にCBDと関連があると考えられています。例えば、CBDは不眠症、不安、関節炎、炎症、その他の体調不良を緩和する可能性があることが研究により示されています。
医療によく用いられるサティバ種と効果
CBDは微量でTHCは高濃度であるため、より脳に作用する傾向があります。
- グリーンクラック
- ジャック・ヘラー
- パイナップルOG
- サワー・ディーゼル
- スーパーレモンヘイズ
サティバの一般的な効果は以下の通りです。
- 精神的活力の増加
- うつ症状の緩和
- 集中力の向上
- 食欲増進
- 慢性疼痛の緩和
医療用ハイブリッド株とその効果
サティバとインディカを交配させたハイブリット株ですが、THCとCBDの割合も品種によって左右されます。
朝はサティバ優位のハイブリッドを選び、夜はインディカ優位のハイブリッドに切り替え等の使い分けも推奨されています。
医療用大麻に関するよくある質問
医療用大麻とモルヒネの違いは?
モルヒネはオピオイド系の鎮痛剤で、神経伝達物質よりも早く、オピオイド受容体へ結合します。
その結果痛みを感じる信号が届かなくなるという仕組みです。
医療大麻はカンナビノイド受容体へ結合して鎮痛効果が得られる点が異なる点です。
また、オピオイド系の薬への依存症対策としても医療大麻が昨今注目されている現状もあります。
ヘンプや産業用大麻と医療用大麻の違いは?
THC等の有効成分を含まない、繊維などの利用が目的の大麻を産業用大麻と呼びます
ヘンプは、幅広いカンナビノイドを含みます。しかし、THCについていえば非検出レベル以下で精神作用も引き起こしません。
詳しくは「麻と大麻の違いは?見分け方や特徴を解説」を確認ください!
まとめ
医療用大麻についての記事は以上です。
医療用大麻解禁にはメリットもデメリットもありますが、つらい症状に苦しんでいる患者に一人でも多く、一日でも早く安心して利用できることを願っています。
弊社サイトでは既に日本にて合法に利用できるCBD製品についても紹介していきます。
せひご覧になってくださいね。