ニコチンとタバコはどちらが体に悪いのでしょうか。タールの量は箱に記載されています。

ニコチンとタールではタールのほうが有害
結論から言うと、ニコチンとタールでは、タールのほうが有害です。
タバコのタールは、タバコを燃やしたときに残る有害な化学物質の粒子を表す言葉です。見た目としては粘着性のある茶色または黄色の残留物となります。いわゆる道路に塗られるタールとは異なります。






- 一酸化炭素
- ニコチン
- タール
それではニコチンや一酸化炭素には害はないのでしょうか。以降ではそれぞれの害を解説していきます!
ニコチンの害
メリーランド大学で公衆衛生法を専門とするキャスリーン・ホーク法学部教授によると、成人の場合、ニコチンの健康への影響は「死なないし、酸素ボンベが必要になることもないし、がんになることもない」と述べています。
しかし、だからといってニコチンが無害であるとは言い切れません。



依存性
ニコチンは体内で、中枢神経系の興奮剤と鎮静剤の両方の役割を果たします。人はすぐに刺激的な効果と快感を感じます。覚醒度を高め、筋肉を弛緩させ、記憶力や注意力を向上させ、イライラ感を減少させます。






ニコチン依存症の人にとっては依存症そのものが生活の質を下げるものと言えます。
「たばこを吸いたい」という強い衝動や欲求によって、自分の行動が制限されたり、集中できなかったりする点ですね。
また、ニコチンの影響を特に受けやすい人もいるので注意が必要です。



ニコチンの害を受けやすい人
以下3つの人についてはニコチンの害を受けやすいことがわかっています。
・脳の発育途中である未成年者
・妊娠中の方
・心血管疾患のある人
脳の発育途中である未成年者
10代の脳は依存症が深刻化しやすく、脳の発達にも悪影響を及ぼします。
妊娠中の女性
女性の場合、低体重児を出産するリスクが高まり、その結果、赤ちゃんが死亡することもあります。
心血管疾患のある人
国立薬物乱用研究所の報告によると、喫煙に関連する死亡者の約40%は心血管疾患によるものですが、ニコチンと心臓病の関係については、科学的には少し曖昧です。
ロナルド・レーガンUCLAメディカルセンターの心臓専門医であるHolly Middlekauff氏はニコチンは心臓を興奮させ、一時的に血圧を上昇させますが、タバコの煙に含まれるニコチン以外の成分が血管にダメージを与え、硬化させると考えられていると言います。
ヨーロッパで普及している無煙たばこであるスヌースを使用する人々を対象とした研究で、。カリフォルニア大学サンフランシスコ校でニコチンの薬理学を研究しているNeal Benowitz氏は、「この集団では、動脈硬化が促進されたり、心臓発作のリスクが高くなったりする証拠はありませんでした」と語っています。
しかし、2014年に学術誌「Circulation」に掲載された2,000人以上のスヌース使用者を対象とした研究によると、心臓発作後にスヌースを使い続けた人は、その後数年間で死亡する可能性が高かったそうです。



タールの害
メインは肺や気管へのダメージ、発がん性となります。
たばこの煙には7,000種類以上の化学物質が含まれていますが、その大半は、タバコを吸うことで発生するタールに含まれています。
これらの化学物質のうち、一酸化炭素、アンモニア、シアン化水素を含む250種類の化学物質が、喫煙者や副流煙を浴びた人に有害であることが知られている。そのうち、少なくとも70種類はがんを引き起こすことが知られています。
タバコの煙を吸い込むと、タールが肺の内側に粘着性のある層を形成します。これが肺にダメージを与え、肺がんや肺気腫などの肺の病気を引き起こす可能性があります。






タバコの煙に含まれるタールは、吸い込むことで肺の中に蓄積されていきます。タールが蓄積されると、健康なピンク色の肺組織が灰色に変わり、やがて黒くなります。
そして、全身の臓器に影響を及ぼします。タールの毒素は、がん以外にも、喫煙者の指や歯に黄褐色のシミができたり、以下のような健康状態を引き起こす可能性があります。
糖尿病
歯周病
心臓病
不妊症
タールが体から抜けるまで
禁煙後、繊毛が回復するまでには1〜9ヶ月かかると言われています。しかし、体内に溜まったタールが肺から出て行くにはさらに時間がかかります。
ニコチンとタールで肌に悪いのはどっち?
結論から言うと先にも述べた有害物質をおおく含むタールのほうが肌に悪いといえます。
タバコを吸うと、肌に悪いというのはよく聞きますよね。老化を早めたり、皮膚がんなどの皮膚疾患を引き起こす可能性があろことがわかっています。また、すでに皮膚疾患がある場合、症状を悪化させる可能性があります。



早期老化と早期のシワ
タバコの煙に含まれる有害物質は、肌のハリを保つコラーゲンとエラスチンにダメージを与えます。この2つの成分が不足すると、肌が硬くなり、弾力性が失われて、深いシワや肌の早期老化につながります。
このようなシワは、通常、眉間、目の周り、口や唇の周りなど、顔の中でも特に目立ちます。また、喫煙は、特に目の下やあごの周りの皮膚のたるみの原因となります。
また、以下作用により老化を早めてしまいます。
- 血管を狭くして肌への酸素供給量を制限
- フリーラジカルの生成を増加
- 肌のビタミンA濃度を低下させる
皮膚の色素沈着
喫煙は皮膚のメラニンを増加させるため、顔に濃いシミができる可能性があります。
ニコチンやタールにより、一部の肌の色が黄色くなることもあります。
傷の治癒
喫煙は血管収縮を引き起こすため、体の血液循環が悪くなり、傷が治りにくくなります。
ちょっとした切り傷や擦り傷でも、きちんと治るまでに時間がかかることがあります。また、傷跡も残りやすくなります



尋常性乾癬
喫煙は、乾癬発症の危険因子です。ある研究では、喫煙頻度が高い人ほど、乾癬発症のリスクが高いとされています。
乾癬は、かゆみや鱗屑を伴う慢性炎症性の皮膚疾患です。皮膚の色が濃い場合は、紫色または暗褐色の灰色の鱗屑が見られます。明るい肌色の場合は、赤やピンクの銀色の鱗屑が見られます。
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、比較的よく見られる炎症性の皮膚疾患で、脇の下や鼠径部、乳房の下など、皮膚と皮膚が擦れ合う部分に病変が生じます。
喫煙は逆性痤瘡の最大の環境的危険因子であることが明らかになっています。
血管炎
血管炎は、自己免疫疾患の一つで、血管が狭くなったり、炎症を起こしたりして、心臓やその他の臓器に血液を送ることが困難になる病気です。
喫煙は、バージャー病と呼ばれる血管炎の発症リスクを高めることがわかっています。
バージャー病の症状には以下のようなものがあります。
- 手指や足指が青白く、赤く、または青っぽくなる
- 手指や足指の痛みを伴うただれが出る
- 組織の損傷や壊疽(組織が腐ること)。
- 手足の冷えや、手、足、足首、脚の痛み。
毛細血管拡張症
毛細血管拡張症(「クモ状静脈」とも呼ばれる)は、体内の小血管が広がったり、拡張したりして、毛細血管の壁に損傷を与える病気です。
毛細血管拡張症は、皮膚の表面に近い部分で最も目立ち、永久的な紫色のしみや静脈の痕跡が見られることがあります。
湿疹
喫煙は、アトピー性皮膚炎(最も一般的な湿疹)や手湿疹の危険因子でもあります。湿疹は、乾燥やかゆみを伴い、明るい肌色では赤く、暗い肌色では茶色に見えます。
副流煙にさらされている人は、手湿疹を発症するリスクが高いと言われています。ある研究では、受動喫煙にさらされた子供が、思春期になって湿疹などのアトピー性皮膚疾患を発症するリスクが高いことがわかっています。
皮膚がん
タバコの煙には、がんの原因となる物質である発がん性物質が含まれています。喫煙者は、皮膚がんの一種である扁平上皮がんを発症するリスクが高くなります。
扁平上皮癌は、皮膚上のざらざらした、うろこ状の斑点、隆起したしこりやただれ、いぼのようなものが現れます。これらの症状やその他の不規則な皮膚の状態に気づいたら、すぐに医師に相談しましょう。
その他たばこに含まれる有害物質
タバコの煙には、あらゆる有害物質が含まれることを紹介してきました。タバコの煙に含まれる化学物質には次のようなものがあります。
- シアン化水素
- ホルムアルデヒド
- 鉛
- ヒ素
- アンモニア
- ポロニウム210などの放射性元素
- ベンゼン
- 一酸化炭素
- タバコ特有のニトロソアミン(TSNAs)
- 多環式芳香族炭化水素(PAH
これらの物質の多くは、タバコ(またはその他のタバコ製品)に含まれる添加物ではなく、タバコの葉の燃焼そのものに由来します。放射性物質もタバコの葉自体に含まれています。
そのため、タバコに含まれる放射性物質の量は、植物が育った土壌や使用した肥料の種類によって異なります。






例えば葉巻を作るための熟成プロセスのため、葉巻はいくつかの窒素化合物(硝酸塩と亜硝酸塩)を高濃度に含んでいます。これらの化合物から、最も強力な発がん性物質であるタバコ特有のニトロソアミン(TSNA)が発生します。
葉巻とたばこについてもっと知りたい方は以下記事を参照ください!


では、有害物質を含まないたばこはあるのでしょうか・・?
タールやニコチンを含まない・少ないたばこを選べばよい?
タールの量が少ないに越したことはありませんが、害が少ないわけではありません。
現在では、喫煙者の肺がんのリスクレベルは、通常のタバコと低タールのタバコのどちらを吸っていてもほとんど変わらないという研究結果が出ています。
また、吸い方によってはせっかく低タール・低ニコチンのタバコを吸っていても意味がないケースもあります。
喫煙者は、通常のタバコに含まれるのと同じ量のニコチンを摂取するために、より深く吸い込み、本数も増えてしまいます。一般的なフィルターよりも空気穴が多く、タール等の成分が体内に入りづらくしているものもありますが、タバコを持つときにうっかり穴を塞いでしまうため、あまり意味がないようです。






まとめ
ニコチンとタールについての記事は以上です。








