最近店頭などでも見かける「ヘンプシード」。健康や美容へのアンテナが高い人はすでにご存知なのではないでしょうか。
摂取することでどのようなメリットがあるのでしょう
ヘンプシードとは
ヘンプシードは大麻の仲間ですが、マリファナに含まれるTHCはほとんど含まれていません。
ヘンプとマリファナは、同じCannabis sativaという種の仲間ですが、実質的にはまったく別の植物です。食用として栽培されているヘンプには約10種類の品種がありますが、いずれもマリファナの主な精神作用成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)を0.001%程度含んでいます。この0.001%はかぎりなく少ない数値ということで「非検出レベル」のため、違法とはなりません。
ヘンプシードの効果とは
では実際にどのような効果があるのでしょうか。
豊富なタンパク質
9種類の必須アミノ酸すべてを含んでいます。(以下表を参照ください)
ヘンプシードには、大豆とほぼ同じ量のタンパク質が含まれています。種子30g(大さじ3杯)には、9.46gのタンパク質が含まれています。
必須アミノ酸 | 効果 |
ロイシン | 筋肉のたんぱく質の合成を促す、肝機能を高める |
イソロイシン | 筋肉や神経機能を強化 |
バリン |
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スレオニン | 新陳代謝の促進 |
トリプトファン | 鎮痛・催眠効果、精神安定、免疫力を高める |
ヒスチジン |
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フェニルアラニン | 鎮痛作用、抗うつ効果 |
メチオニン | 解毒作用、抗腫瘍作用、抑うつ症状を改善 |
リジン | 組織の修復に必要,抗体などの材料にもなる |
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ポイントは体内で合成できないアミノ酸を多く含む ということですね!
心臓への健康効果
アミノ酸は、すべてのタンパク質を構成する成分です。9種類の必須アミノ酸は体内で生成することができないため、食事から吸収しなければなりません。
植物性食品の中で完全なたんぱく質源となるものはほとんどないので、麻の実はベジタリアンやビーガンの方にとって貴重な食材と言えます。
不飽和脂肪酸を多く含む
オメガ3系であるα-リノレン酸(ALA)などの必須脂肪酸が多く含まれています。
必須脂肪酸もまた、体内で生成できないため、食事から吸収しなければなりません。長期的な健康のためには欠かせない存在です。
また、オメガ3系とオメガ6系の比率も重要です。
2015年に行われた動物実験の結果によると、麻の実と麻の実油を鶏の食事に取り入れることで、卵黄に含まれるオメガ3系の量が増え、オメガ3系とオメガ6系の比率がより健康的になった卵が生まれました。
また、ヘンプシードには飽和脂肪酸が少なく、トランス脂肪酸も含まれていません。
一般的に、人々はオメガ6系を摂りすぎ、オメガ3系を摂りすぎている傾向がありますが、ヘンプシードを食事に加えることで、バランスを促進することができるかもしれません。
食物繊維が豊富
麻の実の食物繊維は、外皮に多く含まれています。できれば殻がついたままの麻の実を購入しましょう。
大さじ3杯で約1.2gの食物繊維が含まれており、信頼できる食物繊維源です。
毎日、十分な量の食物繊維を摂取することで、以下の効果が期待できます。
身近な食物繊維ですが以下効果が期待できます。
・体重管理に役立つ
・血糖値を安定させる
・腸内環境を整える
ミネラル・ビタミンの種類も豊富
ヘンプシードには驚くほど多くのビタミンやミネラルが含まれており、特に以下の成分が豊富に含まれています。
ビタミンE
マグネシウム
リン
カリウム
ナイアシン
リボフラビン
チアミン
ビタミンB-6
葉酸
また、鉄、亜鉛、ビタミンB群も豊富に含まれています。
神経系の保護
ヘンプシードに含まれるCBDは、神経系の疾患に効果があると言われています。
Food Chemistry誌に掲載された研究によると、麻の実の抽出物には実験室で抗酸化作用があることがわかりました。これらの効果は、種子に含まれるカンナビジオール(CBD)によるものと考えられます。
2018年に発表された研究結果によると、種子に含まれるCBDやその他の化合物には、神経保護、抗炎症、効果があり、免疫系の調整にも役立つ可能性があります。
このレビューでは、これらの潜在的な特性のため、CBDは以下のような神経疾患に役立つ可能性があるとしています。
パーキンソン病
アルツハイマー型認知症
多発性硬化症
神経障害性疼痛
小児けいれん性疾患
心臓の健康の促進
医学界では、オメガ3系脂肪酸が心臓の健康状態を改善し、不整脈や心臓病などの問題のリスクを低減すると考えられています。
ヘンプシードには、オメガ3系脂肪酸が多く含まれており、オメガ3系とオメガ6系の比率も健康に良いとされています。
また、ヘンプシードには、一酸化窒素に変わるアミノ酸であるアルギニンも多く含まれています。
一酸化窒素は動脈や静脈の拡張に欠かせない物質で、血管壁を滑らかで弾力性のある状態に保つ働きがあります。
血圧を下げ、健康的な食生活を送り、様々な形の運動に参加することで、心不全のリスクを減らすことができます。
皮膚疾患の改善
アトピー性皮膚炎(AD)やニキビは、どちらも慢性的な炎症が原因となっています。ヘンプシードに含まれる抗炎症成分が助けになるかもしれません。
ニキビの原因としては、オメガ3系の欠乏が考えられています。ヘンプシードに含まれる高いオメガ3の含有量は、ニキビの症状の管理と軽減に役立つ可能性があります。
最近の研究では、オメガ3を多く食べることでニキビの症状が改善される可能性があるという結果が得られましたが、その効果の程度を判断するにはさらなる研究が必要です。
関節リウマチを緩和する
関節リウマチは、自己免疫疾患です。免疫系が自分の組織を攻撃することで、関節に炎症が起こります。
2014年、ヒトの細胞で行われた研究で、ヘンプシードオイルに抗リウマチ効果があることが示唆されました。
しかし、2018年のレビューTrusted Sourceでは、カンナビノイドがリウマチ性疾患を効果的に治療できることを示唆する決定的な証拠がないことが判明しました。著者らは、さらなる研究が必要であると指摘しています。
ヘンプシードの食べ方
では実際にどのような食べ方があるのでしょうか。
商品の種類としては以下2つが主流です。
・ヘンプシードそのままのパウダータイプ
・ヘンプシードからオイルを抽出したヘンプシードオイル
スムージーやシリアル、サラダ、ヨーグルトなどにスプーン1〜2杯振りかけるだけで簡単に食べられますし、
魚や肉にパン粉の代わりに使用してグルテンフリーの調理をすることもできます。
弱火で煎ることでナッツの風味が引き立つので、牛乳に入れてアーモンドミルクのようにして飲むのも人気のようです。
オメガ脂肪酸が調理中に分解されやすいため、ヘンプシードオイルは、料理や揚げ物に使うのではなく、仕上げ用のオイルとして使うのがよいでしょう。
まとめ
本記事ではヘンプシードの持つ効果と調理方法をご紹介しました。