CBDは喘息への効果があるのでしょうか。
CBDは喘息の治療へ効果があるのか
結論からいうと、CBDは喘息の症状を抑えることができると考えられています。
CBDは、抗炎症作用や抗酸化作用があることから注目を集めており、ビタミンCやEよりも神経保護の効果があるとも言われています。
2019年の研究によると、CBDはアレルギー性喘息を誘発したマウスの気道の炎症と反応性を低下させることがわかりました。しかし、CBDオイルがアレルギー誘発性喘息の有効な治療法であるかどうかを判断するには、ヒトでのさらなる研究が必要です。
(参考:「NIH」)
CBDが喘息への治療に期待されている理由
CBDは、薬物療法では十分な効果が得られない、あるいは副作用の可能性を考慮して薬物療法を希望しない人たちに導入が期待されています。
喘息の治療にCBDを用いた症例は少ないですが、治療効果としてはかなり期待されており、安全性についてはすでに証明されています。
(参考:「CiiTECH」)
CBDはその他呼吸困難を起こす疾患に役立つか?
喘息と同様に、CBDが慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に有効かどうかも研究が進められています。
動物実験では、CBDが肺の炎症を抑え、機能を改善する役割を果たしていることが示されていますが、安全性と有効性を判断するにはヒトでの研究が今後必要です。
(参考:「NIH」)
CBDが喘息を改善する仕組み
CBDは、以下の点で喘息を改善すると考えられています。
また、CBDや他のカンナビノイドについて、呼吸器疾患、炎症性の痛み、虚血性脳卒中に対処するために使用できると結論づけています
喘息は肺の慢性炎症性疾患で、呼吸が制限されるのが特徴です。最も一般的な症状は、咳、喘ぎ、息切れ、胸の圧迫感、呼吸困難などです。これらの症状の頻度やQOL(生活の質)を著しく低下させ、時にはうつ病を発症することもあります。
炎症を抑える
肺の炎症は、喘息の主な原因です。患者がアレルゲンなどの刺激物にさらされると、免疫系統が反応し炎症反応をもたらします。
炎症を起こした気道は、筋肉の痙攣を引き起こし、肺が過剰な粘液を分泌する原因となります。その結果、呼吸器系の気道が詰まってしまい、息を吸ったり吐いたりすることが非常に困難になります。
研究者たちは、CBDがエンドカンナビノイドシステムのCB2カンナビノイド受容体と相互作用することで、顕著な抗炎症作用を発揮すると考えています。この受容体の活性化は、炎症を起こす細胞の割合を下げるのに役立ちます。
2019年の研究では、CBDが炎症反応を抑制し、アレルギーによる喘息患者の肺機能の回復を早める可能性があることが明らかになりました
(参考:「European Journal of Pharmacology」)
CBDは、TNFレベルを特異的に低下させ、全体的な炎症を抑えることがわかりました。腫瘍壊死因子(TNF)も炎症に関与しており、喘息の重症化につながります。
痰の生成を抑える
痰は、喘息の症状を悪化させ、気道の閉塞につながります。余分な粘液は、サイトカインの生成によって引き起こされます。サイトカインタンパクであるIL-13がその原因であると広く考えられています。
痛みの緩和
CBDは、痛みを感じる神経細胞に結合して鎮痛反応を引き起こすことで、ECSを介して喘息関連の痛みを管理するのに役立ちます。
この研究では、無作為に比較試験が実施され、CBDおよび関連する植物性カンナビノイドは、エンドカンナビノイド系(ECS)に影響を与えることで鎮痛剤として作用するという結論が出されました。
喘息の発作がひどい人は、この痛みがかなり不快で、耐え難いレベルになることもあります。胸の痛みは、喘息の主な症状ではないかもしれませんが、臨床研究によると、患者の約76%が発作時に中程度から重度の胸の痛みを経験しています。
痙攣を抑える
CBDは、気管支周辺の筋肉の収縮度を下げる働きがあるため、抗痙攣薬として作用し、喘息発作時の胸の圧迫感を軽減します。
喘息の発作は、肺の筋肉が収縮することで、気管支や細気管支に波及し呼吸困難や咳を引き起こします。
気道の閉塞を防ぐ
喘息患者の気道は過敏に反応し、簡単に収縮する傾向があります。これが気道の閉塞につながることがよくあります。ドイツの臨床薬理研究所の研究では、アナンダミドと呼ばれるエンドカンナビノイドの神経伝達物質が、この気道閉塞を抑制する可能性が示されました。
喘息を発症すると気管支内のアナンダミドが増加します。アナンダミドの濃度は、気道の閉塞や炎症の程度と相関しています。
CBDは、アナンダミド濃度を促進することが知られています。これは、アナンダミドを分解する酵素を阻害することで、アナンダミド濃度を高く維持し、気管支の閉塞を予防するものです。
また、THCやCBDのような植物性カンナビノイドの存在は、筋肉の収縮を和らげるのに役立ちます。
喘息の一般的な副作用(不眠や不安感など)を和らげる
喘息は長く付き合っていかなければならなく、生活の質を著しく下げるものになります。慢性的な不安を感じると、その人の日常生活に深刻な影響を与える可能性があり、うつ病、パニック障害、恐怖症、双極性障害など、さまざまな精神疾患のリスク要因となります。
CBDの抗不安・安眠作用により、吸入薬と併用することで不安を和らげることができるかもしれません。
カンナビノイド受容体の活性化による喘息反応の予防効果
CBDはカンナビノイド受容体を活性化することで、肺が炎症を起こすのを防ぐことができる可能性があります。
フィレンツェ大学がモルモットを使って行った別の研究では、カンナビノイド受容体(CB1とCB2)が喘息症状の予防に果たす役割を評価することを目的としました。
この研究では、両方の受容体が肺の保護に関与しており、これらの受容体を標的とすることで、喘息患者の予防治療につながる可能性があると結論づけています。
(参考:「フィレンツェ大学」)
一般的には、遺伝や家族歴が喘息発症の主な危険因子であると考えられていますが、幼児期の特定の感染症、特に肺炎球菌による感染症によっても喘息が引き起こされるという説が昨今唱えられています。
現在喘息の短期的な症状と長期的な症状の両方に効果のある抗生物質を開発するために、様々な研究が行われています。
最近では、CBDやTHCなどのカンナビノイドが喘息治療の分野で注目されています。
実際、オランダの研究では、CBDが複数病原体に対する殺菌効果を持つことが示唆されており、喘息の原因となるレンサ球菌やブドウ球菌については特に効果的とされています。
CBDが喘息の治療薬と比較して優れている点
CBDが喘息の治療薬と比較して優れている点は以下となります。
- 副作用が少ないこと
- 予防として使用できること
呼吸困難、睡眠障害、喘ぎなどの喘息の合併症に対処することは、決して容易なことではありません。喘息の発作を防ぎ、症状を緩和するための処方箋はありますが、その多くには不快な副作用があります。
例えば、副腎皮質ホルモン剤です。ステロイド系の喘息薬を長期間使用すると、あざができやすくなったり、気分が変わったり、食欲増進による体重増加、目の病気、高血圧、骨粗しょう症などの副作用が出てきます。
また、予防的に吸入薬を日常的に使用すると、声のかすれ、喉の痛み、口腔真菌症などの症状が出てきます。ジレイトンのようなロイコトリエン剤は、時としてうつ病の原因となったり、自殺願望や幻覚を引き起こすこともあります。
喘息のためにCBDを摂取した場合、副作用はありますか?
CBDの副作用については以下のような症状を感じることがあります。
- 吐き気
- 下痢
- 皮膚の発疹
- 食欲減退
- 睡魔または不眠症
- 肝機能異常
もし喘息の治療や予防にCBDを導入したい場合はまず医師に相談しましょう。
現在使用している薬が効いている場合は、CBDへの切り替えは推奨されないかもしれませんし、併用も悪影響を及ぼす可能性があります。
CBDを喘息治療へ用いる際におすすめの使用法
喘息へのCBD摂取方法としては経口摂取や舌下摂取がおすすめです。
CBDオイルやCBDグミ等を用いて気管に負担のかけない方法での摂取を心がけましょう。
気道を刺激する可能性があるため、CBDベイプの吸引は控えましょう。
CBD製品の種類については以下記事を参照ください。
CBDオイルと喘息に関するヒトでの臨床研究が不足しているため、喘息に対する適切な投与量は断定されていません。これまでの研究では、1日あたり最大1,500ミリグラム(mg)のCBDを摂取しても安全であると考えられています。
個人によって適切な投与量はことなるため(製品の種類や体重など)、医師の監修のもと使用するようにしましょう。
まとめ
CBDと喘息についての記事は以上です。